すこやかさのマテリアル
1988年(昭和63年)、「自分たちの創りたい家を、自分たちの手で、それも地域の中でつくっていきたい」という願いを持って設立されたのが、わたしたち「ばうはうす」です。
私たちが創りたい家とは、素材感を大切にしたデザイン性の高い家。言い換えれば、まず、自分たちが「住みたい」と思える家のことです。 私たちはその願いを「すこやかさの意匠」として捉え、結果として自然素材を多く使用してきました。 光と影をデザインし、風の通り道を考え、安全で、なおかつ表情豊かな住空間を生み出していくために。
ここでは【自然素材を含め】私たち20年余の歩みの中で出会い、選んできた素材の幾つかをご紹介させていただきます。
杉炭紙(さんたんし)
靴箱や畳下など、湿気やにおいがこもりやすい箇所に使います。
炭は珪藻土と同じようにポーラス(他孔質)な物質であり、住空間の空気中の湿気を吸着・脱着を繰り返すことによって湿度を調節してくれます。
もっと詳しい情報は、株式会社イシコーのページをご参照ください。
羊毛断熱材
羊毛断熱材「ウールブレス」を標準仕様としております。接着剤を一切使用していません。
私たちがウールブレスに注目したのは、断熱材そのものが持つ「調湿性能」です。水蒸気の吸放湿性が非常に高く、木造住宅の耐久性に大きく影響する「壁内結露」を起こさせないこと……それが羊毛を選んだ大きな理由です。もちろん、夏場の逆転結露にも有効です。ウールブレスは、自重量の35%もの水分を保持できる上に、ホルムアルデヒドを吸着する特性を併せ持ち、シックハウス対策になります。
もっと詳しい情報は、株式会社ITNジャパンのページをご参照ください。
白州そとん壁(外壁)
火山灰土から作られる左官材での塗り壁仕上げ。100%自然素材です。土壁特有の素朴な質感です。
原材料は南九州シラス台地に堆積した火山灰です。 約22,000年前に九州鹿児島の姶良カルデラの噴火によって莫大に噴出、南九州一帯に堆積おり、このシラス(白砂)の地質により、この南九州一帯は水はけが良い土地柄。ギリシャ等の白い家の壁は石灰で塗られていますが、白州そとん壁もアルカリ性です。その昔、天然の虫除けや伝染病の予防にアルカリ性の石灰で塗られたことが始まりだそうです。
もっと詳しい情報は、高千穂シラス株式会社のページをご参照ください。
ガルバリウム(外壁)
アルミニウムの長耐久性と、亜鉛の防食自己修復作用(犠牲防食)などを付加した外壁用建材として知られています。
建築・建材業界では、1972年にアメリカ合衆国のベツレヘムスチールが開発したアルミ亜鉛合金めっき鋼板のことを指し示すことが大半です (アルミニウム55%、亜鉛43.4%、珪素(シリコン)1.6%)。 鋼板に亜鉛メッキした「トタン板」に比べると、耐久性の差は大きく、機能面だけではなくデザイン性も高く、ばうはうすではよく採用されます。
床材
素足で感じていただきたい無垢の床材。視覚的にも触感もやわらかな杉や松の床材を使用しています。
「いわゆるフローリング」のサンプルと見比べていただくと、3cmの厚みなどその圧倒的な存在感アッと驚かれます。一見こぎれいなフローリングも、ホンモノの前には形無し、厚みで3倍近くありまして、断面を見て納得。触って満足。手触りがよくて(足触り?)、暖かくて(学問的には導管の太さによるらしいのですが)、気持ちヨイのです。
室内仕上げ
ウッドチップ壁紙+自然塗料で、呼吸する壁の家。
ルナファーザー
環境先進国ドイツで開発された、人と環境に優しい壁紙です。100%再生紙に端材や間伐材を利用したウッドチップを漉き込まれています。最終仕上げとして用いることもありますが、一般的には塗装の下地として使われており、10回以上も再塗装できる耐久性をもっています。つまり、10年に1回塗り替えるとすると、100年も使える壁紙というわけです。
もっと詳しい情報は、ルナファーザー株式会社のページをご参照ください。
デュブロン
有害物質を徹底的に排除して100%天然素材で作られた、安全な室内用水溶性塗料です。自然塗料として業界では知られているドイツ・リボス社の製品で、日本人的感覚では、漆喰調と呼んでも恥ずかしくない仕上がりです。呼吸する素材であり、静電気も防ぎ、快適で安全な室内環境を得られます。
もっと詳しい情報は、株式会社イケダコーポレーションのページをご参照ください。
構造躯体
群馬県産こだわりの逸材「かぶら杉」をふんだんに使用しています(在来軸組工法の場合)。
南牧を源流とする鏑川。 その中流域(下仁田近辺)には、県内でも有数な人工林が広がり、杉・檜等の優良な木材を産出しています。いわゆる「かぶら材」ブランドです。私たちの木造軸組構法の家は、現地の製材所で加工された「かぶら材」を直接に仕入れて、構造躯体から内部の仕上げまで用いています。 「トレーサビリティ」つまり、顔の見える住まいづくりと言うことです。
サッシ
樹脂ペアガラスサッシを標準仕様としています。窓も結露させません。
塩ビ(PVC)建材の是非はありますが、私たちは、樹脂サッシの断熱性能にいち早く注目してきました。熱貫流率は(当時主流であったALシングル窓の)1/2.5という性能を持ち、結露を起こさせません。さらに、年間の冷暖房費を大きく削減できることによって、トータルで40%のCO₂発生を抑制できるのです。大手サッシメーカーも参入し、輸入品も出回り、選択肢も広くなって価格的にも使いやすくなりました。リサイクルへの対応も進められています。
健康と環境へ
私たちが自然素材を多く取り上げてきたのは、はじめから「環境」とか「人への影響」とかを明確に意識していたわけではありません。それは「フェイクはいやだな」という、たんに感性の問題でした。歳月を経て、日ごとに、年ごとに、美しく風合いを感じさせる……そのような素材で、家を創りたいと思ったのです。
……今、私たちの感性は間違っていなかったと思えます。
私たちは、地域の木と、土と、紙と、石だけで家が造れるとは考えていません。それが目的でもありません。 人や環境に、できるだけ負荷を与えない……そのような視点で、素材を選んでいます。 自然素材は、選択肢のひとつです。使えるところに、使うべきところに、選んでいるのです。 建築は多くの条件が複合的に絡み合った中で進める作業です。 まず経済的条件があるでしょう。 敷地の条件や法律の条件などもあります。 与えられた条件の中で、住まう人にベストな住環境を提案する。 少なくとも及第点の取れる仕事をする。 それが私たちのスタンスであるとご理解ください。
自分が住みたくなる家を……それがポリシーだから、居心地がよくて、安全で健康的に暮らせて、おまけに遊び心のある空間を…… 限られた予算の中で、それでもわがままにデザインする。そのイメージをカタチにしていく様々な素材。 できるだけ、ヒトや環境にストレスを与えぬよう(この地球に迷惑をかけないように)配慮された、チープでも上質でホンモノの素材。 それが、私たちの選ぶ「すこやかさのマテリアル」なのです。
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