育まれた家(2) 20th Anniversary「水鳥記 」
かつて、ばうはうすプロデュース「遊屋」で“懐石の日”の板前として腕をふるってくださったM夫妻。 いつかは自宅で酒家をやりたいという夢に基づいて設計され、そのための水回りなどの設備を導入しながらも、夢が叶ったのは小学生だった息子さんがすっかり大人になり独立された竣工13年後のこと。 京都出身の奥様が京風懐石「水鳥記」を予約制のランチのみでオープンされたのは昨年のこと。
竣工から13年経ったとはいえ、自宅部分と店舗部分を隔てる壁をつくる以外ほとんど手を入れずに始められたと、去年久しぶりにお会いした奥様から大変喜んでいただいた。 竣工当時ダイニングテーブルとしてTEAM BAUがしつらえた黒塗りの大きな座卓は、今はお客様をもてなすための座卓として鎮座している。
“豊かに古びていく家”──
ばうはうすのコンセプトの一つであるが、それは古びていく様だけを言うのではなく、年月を経た家を住まい手が楽しんでくれることでもある。 年月を経た表情はそのままに、必要なところだけ少し手を入れて、家に新たな息吹を吹き込んでもらえる。つくり手としてこんなに嬉しいことはない。

京風懐石 水鳥記
- 予約(ランチ)のみ
- 群馬県富岡市黒川1807-9
- 0274-62-5159
- 日曜・月曜 定休
ちなみに「水鳥記」とは、「酒」という漢字を、水を表す「さんずい」と、「酒」からさんずいを取った「酉」を「鳥」と表した粋な文字遊びになっています。 江戸時代には大師河原での酒呑み合戦を軍記風に滑稽に描いた同名の仮名草子も著されています。 さらに、それになぞらえたイベント水鳥の祭が、川崎大師周辺で毎年10月第3日曜日に開催されているそうです。