倉をイメージして

外観 うしろがわ リビングダイニング ダイニングの上にロフト キッチン

どの家にも住まう人の顔が見えるように、どの家にも……その家の物語があると思う。 この物語の始まりは、生家にあった土壁づくりの古い「倉」に遡る。

こども時代、倉は格好の隠れ家であり、遊び場でもあった。 不気味なほど静寂で、ほの暗い空間は、彼にとって……。 まるで歴史の迷路に迷い込んだような、謎めいた世界。 高窓からさしこむ一条の明かりに、キラキラ舞う光の粒子。 古びた埃の匂い。 そこには、少年の心を捉える小さな旅があり、ココロをときめかせる冒険があった。 好奇心を刺激し、想像力を駆り立てる……小さな、彼だけの世界だった。

この町で育ち、都会の学校を出て、またこの町に帰って就職し、結婚して……家を持つ。 彼にとって、家のイメージの原点は「倉」。 倉を再生すること、そして、彼と家族の新しい物語を倉の中で綴っていくこと。 子供たちの記憶に残される物語を……。