紅雲の住み家

外観 玄関 玄関 茶室 掘炬燵の和室 玄関 洗面台 玄関 天井 棚、ロフト

施主はコピーライター。彼の「仕事の場」は東京にある。 しかし彼は「生活の場」として、生まれ育った前橋を選んだ。 生家のあるあたりは、今も変わらぬ閑静な街並みが残されている。 この界隈にふさわしい語感を持つ町の名。 水と緑。遠望する山並み。

彼はこの町に……捨てがたい思いがある。 「環境に調和するデザインを……」それが、建て替えにあたっての施主の要望だった。 この街並みに違和感を与えることのない佇まいを──と。 それでいて、現代の生活にも対応できる住環境であってほしいと。

洗練された和の美意識と、洋のライフスタイル。 私たちの提案は、蔵づくりをイメージした物になる。 シンプルな切妻。米杉の荒い木肌そのままのファサード。 燻された瓦の質感を持つアプローチタイル。 架構を表した内部の空間構成。 赤松の床材に、白壁。 ラフに挽いた鋸目を見せる米松。 鈍色の家具。

素朴でも上質な材を選び、素材そのものが呼吸する住空間。 玄関脇に一本のエゴの木を植え、窓下に花を飾り、深い庇の下に愛車のボルボを駐める。

築17年となる2008年に撮影した写真もご覧ください